「アメリカは株式会社ではない」2012/01/15 16:18

えー、クルーグマン先生、元旦には「ケインズは正しかった」を書いて、財政過剰引き締めを批判したが、今回は「ウォールストリート型強欲」を槍玉に。ご紹介致す。

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「ヘラ鳥ウォッチング」

「AMERICA ISN'T A CORPORATION」(01/14~15)

「アメリカは株式会社ではない」 ポール・クルーグマン

「強欲は(オレの言葉遣いに注意しろ)この製紙会社を救うだけでなく、USAと呼ばれる機能不全の株式会社も救うのや」

これは、1987年製作の映画「ウォールストリート」の中で、ゴードン・ゲッコなる登場人物がノタマウ、有名な「強欲は善だ」演説の最後の部分やねん。映画の中では、ゲッコは当然の報いを受ける(刑務所入りする)。でも現実世界では、ゲッコ主義が勝つ。そして、強欲は善だ、と言う思想に基づく政策こそが、中産階級に較べ、たった1%のカネモチの収入が、かくも急激に増大する最大の理由なのだよ。

しかし、今日は、この演説の他の部分に注目したい。アメリカを株式会社扱いしている部分だ。これは広く受け入れられている考え方で、ミット・ロムニー自身が大統領に相応しいと自認している最大の拠り所でもある。つまり、彼は、苦しんでいるアメリカ経済を建て直すのに必要なのは、ビジネス世界で成功した人物だと主張しているのやねん。

だから当然、彼は自分自身のビジネス経歴をコマゴマと述べる。ベイン・キャピタルなる会社を経営していた頃のロムニーには、チョイとゲッコ風の匂いがする。彼は、長期間の会社経営を目指すのではなく、利益のためには従業員に損害を与える会社売買を行った。

しかし、アメリカが大統領として必要なのは、成功したビジネスマンである、という思想には、重大なモンダイがある。そうだろう、アメリカは株式会社なんかではないのだ。良い経済政策を立てることと、株式会社の利益を最大化することとは、チガウべな。いかに偉大なビジネスマンと謂えども、一般的には、経済回復を達成する特殊な洞察力は持ち合わせて居ない。

国家経済と株式会社はドコがチガウのか?ヒトツには、利益が単純でないこと。もうヒトツは、国家経済は巨大会社と較べても、ズっと複雑だからや。
(1)
さよ、グローバル経済と言うものがある。アメリカ労働者の6/7は、サービス産業に雇われているが、それは国際的競争からは影響受けない。アメリカ製造業者も、生産物の大部分を国内市場で売っている。大部分を自分自身に売っているという事実は、政策上、巨大な差異を生む。

商売がテッテ的コストカットに走ればナニが起こるか。労働者ではなく、会社の持ち主の立場からは、コストはカットすればするほどイイ。バランスシートのコストから除外されたドルはすべて利益となる。

しかし、政府が不景気に直面しての歳出カットはハナシが違う。ギリシャ、スペイン、アイルランドを見ろ、どの国もキビシイ政策を採用しているが、ドコも失業率が高いのは、政府の歳出カットが国内生産者を直撃するからや。そして、どの場合でも、財政赤字の縮小は期待外れだ。それは生産と働き口の崩壊で税収が下がるからやねん。

さよ、ハッキリ言えば、ヤリ手の政治家に必要なのは、ビジネスマンであることよりは、経済政策を掌握することや。なのに、ロムニーは、自分の経歴が特に大統領向きだと主張してる。オレに言わせれば、ホワイトハウス入りした最後のビジネスマンは、ハーバート・フーヴァーではないか?(小ブッシュを別にすれば)

もうヒトツの疑問は、ロムニーがビジネスを経営することと、経済を支配することとのチガイを理解しているかどうか、だ。他の多くの観測者と同じく、オレも彼自身のベイン社の記録についての最近のイイワケにはビックラこいたぜ。つまり、彼はオバマ政権がクルマ産業に援助金を拠出した時同様、労働者のクビを切っているのだよ。

だが、オレがさらにオドロイタのは、ロムニーがオバマ大統領の援助行動を評したコトバだ。「彼はビジネスを救うためにやった」と。いや、そうじゃない。オバマは産業を救うためにやったのさ。だから、そうしなければアメリカの沈滞を深めたかも知れない、労働者の職を救ったのやねん。

確かにアメリカは、今よりもっとイイ経済政策が必要だ。オソマツな政策に対する非難のほとんどは、共和党からだ。そして建設的なものにすべてイチャモンつけるのが彼等の反対方法だが、オバマも重要なミスを冒している。しかし、来年ホワイトハウスに入る人物が、テメエのシゴトは、アメリカ株式会社を技術的に買い取ることだと考えているようなら、イイ政治は、とても期待できないんちゃうか。

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ウム。トドノツマリは、ロムニー拒否論やんか。
保守派のブルックスも「THE C.E.O.IN POLITICS」で、ロムニーのビジネス成功経歴と、イイ大統領になることとは、ムカンケイだと書いている。ロムニーの前途は多難かもよ。